最後の歌姫、降臨。

せつなく力強い声が、背中をそっと押してくれる。
みんなが同じ痛みや同じ悲しみをかかえているわけではないのに、
ma〜naの歌は、どんな人の心にも深く浸透して、
芯からあたためてくれる。
そう、母性のような普遍的なぬくもり。
彼女の歌には体温がある。

どんなにつらくても、もう1ミリも前に進めないと、うなだれていても、
ma〜naが前進するためのエネルギーを洗礼のようにくれる。
力を分けてもらうと言うより、命をもらっている感覚にすらなる。

彼女のコトバは、言霊(ことだま)になって
聴く者の細胞ひとつひとつに命を吹き込んでくれる。
泣きたいときに思いきり泣けて、理由も聞かずにただじっと見守ってくれて、
世界を敵にまわしても、たったひとり味方でいてくれる。
それでいて視線はいつもリスナーと同じ位置。
それがma〜naの魅力。激しくもやさしい奇跡の歌声。

よくある癒しなんかじゃない。
それらしい社会問題や環境を詞っているわけでもない。
でも、日常にこびりついたシミのような闇を鮮やかにえぐりだして見せている。
時には大切な命、地球の叫びにまでおよぶ。
ma〜naがいてくれてよかった。
わたしたちは間違わずに、くじけずに、また進んでいける。

最後の歌姫が、ひとりひとりの心に降りる瞬間。
この永遠の瞬間をともに……。

                         音楽ライター:落合 真司

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